京都府立城南菱創高校
2026/10/30
京都府立城南菱創高等学校 自分の可能性を広げる単位制の学び
京都府立城南菱創高等学校の学校説明会で、教育方針や学校生活、2027年度入試についてお話を伺いました。
宇治市小倉町にある城南菱創高校は、普通科と教養科学科を設置する単位制の公立高校です。
城南菱創高校というと、大学進学を目指す生徒が集まり、学習に力を入れている高校という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、私が今回の説明会で特に注目したのは、進学実績だけではありません。
生徒一人ひとりの興味や関心を大切にし、自分の将来を考えながら学びを選択できる教育環境です。
高校入学の段階で将来の職業や進路が明確に決まっている生徒ばかりではありません。
高校生活の中で新しいことに出会い、興味を持つ分野が変わったり、将来の目標が見つかったりすることもあるでしょう。
そうした成長の可能性を大切にしている点が、城南菱創高校の魅力だと感じました。
長年、生徒たちの進路指導に携わってきた立場から、城南菱創高校の特色や学習環境、学校生活、進学実績、2027年度入試についてご紹介したいと思います。
城南菱創高校が大切にする教育
城南菱創高校は、城南高校と西宇治高校を前身とし、2009年4月に開校しました。
学校では、教育の基本コンセプトとして、3つの「C」を掲げています。
Communication(コミュニケーション):国際社会に通用するコミュニケーション能力を育てる。
Creation(創造性):課題研究や大学との連携を通して創造性を育てる。
Culture(文化):地域の歴史や文化を学び、新しい文化を創造する力を育てる。
大学受験に必要な知識を身につけることはもちろん大切です。
しかし、大学に進学してから、あるいは社会に出てからは、自分で課題を見つけ、考え、他者と協力して解決する力も必要になります。
城南菱創高校では、教科学習に加えて、探究活動や大学との連携などを通して、こうした力の育成にも取り組んでいます。
城南菱創高校の大きな特色「単位制」
城南菱創高校の特徴の一つが、単位制を採用していることです。
単位制と聞くと、学年やクラスがなく、自分の好きな時間に授業を受ける高校を想像する方もいるかもしれません。
しかし、城南菱創高校はそうではありません。
学年やクラスを基本とした学校生活を送りながら、必修科目以外については、自分の進路希望や興味・関心に応じて科目を選択できる仕組みです。
例えば、文学や社会科学を学びたい生徒と、理科や数学を深く学びたい生徒では、必要な学習内容が異なります。
城南菱創高校では、こうした違いに対応できるよう、多くの選択科目が用意されています。
私は、この仕組みには大きな教育的意義があると考えています。
ただし、選択の自由があるということは、自分で考えて決める必要があるということでもあります。
「何を学びたいのか」「将来どのような進路に進みたいのか」を考えることが、高校生活の中で重要になります。
普通科 自分の進路に合わせて学びを選ぶ
普通科の特徴は、豊富な選択科目を利用して、自分の進路希望に適した時間割を組み立てられることです。
国公立大学や私立大学への進学を目指す学習だけでなく、看護、福祉、保育、芸術、スポーツなど、さまざまな分野に関係する科目も用意されています。
学校公式ホームページでは、福祉に関する科目や、古典・英語の発展的な科目、描写などの授業が紹介されています。
科目選択にあたっては、ガイドブックや個別面談などによるサポートも行われています。
このような環境は、すでに進みたい分野が決まっている生徒だけでなく、高校生活の中で自分の興味や適性を深めたい生徒にとっても魅力的でしょう。
ただし、希望する大学や学部によって、受験に必要な科目は異なります。
単に興味のある科目を選ぶだけでなく、卒業後の進路も考えながら学習計画を立てることが大切です。
教養科学科 高い学力と探究する力を育てる
教養科学科は、高い学力と探究の精神を育てることを重視した専門学科です。
普通科で学ぶ内容をさらに深めるとともに、専門科目や課題研究、大学との連携などに取り組みます。
1年次には幅広い分野を学び、2年次から次の2つの系統に分かれます。
人文・社会科学系統
歴史、経済、社会、文化などへの関心を深めながら、幅広い教養や国際的な視野を育てます。
自然科学系統
自然科学や科学技術について学び、数学的・科学的な思考力、論理的に考察する力を育てます。
興味深いのは、入学時点で文系・理系の進路を完全に決めるのではなく、1年次の学習を通して系統を選択する仕組みになっていることです。
中学生の段階では、理科も社会も好きで、どちらの分野に進みたいのか迷っている生徒もいます。
高校で実際に学びながら自分の関心を深め、その後の進路を考えられる点は、注目したい特色です。
一方で、教養科学科では専門的な内容にも取り組むため、日々の学習に主体的に向き合う姿勢が求められます。
3年間を通して取り組む「こだわり学」
私が城南菱創高校の教育で特に注目したいのが、教養科学科で3年間を通して取り組む探究学習です。
1年次の「こだわり学」では、自分の興味や関心から問いを見つけ、調べ、考え、その成果を発表します。
2年次には、関心のある分野の探究科目で専門的な学びを深め、3年次には研究成果をまとめ、発表する活動へとつなげていきます。
答えが一つに決まっている問題を解くことと、自分で答えを探していくことは、少し違います。
探究活動では、疑問を持ち、情報を集め、自分なりの考えを整理し、相手に分かりやすく伝えることが必要です。
私は、こうした経験は大学での研究だけでなく、社会に出てからも役立つと考えています。
大学入試でも総合型選抜や学校推薦型選抜など、学力試験以外の学習経験や活動を評価する選抜があります。
もちろん、探究活動をしただけで大学入試に有利になるわけではありません。
しかし、自分が何に関心を持ち、どのように取り組み、何を学んだのかを説明できる経験は、将来の進路を考えるうえでも価値があると思います。
京都大学などとの連携による学び
城南菱創高校では、大学や研究機関との連携にも取り組んでいます。
2026年9月には、教養科学科1年生が京都大学吉田キャンパスと総合博物館での1日研修に参加しました。
文系講座では哲学対話や博物館での実習など、大学の専門的な学びに触れる活動が行われています。
教室で教科書を使って学ぶことも大切ですが、大学の先生から直接お話を聞いたり、研究活動を体験したりすることで、新しい興味が生まれることもあります。
高校生のうちから大学での学びを具体的に知ることができるのは、進路選択のうえでも貴重な機会でしょう。
また、城南菱創高校は文部科学省の「DXハイスクール」にも採択されており、ICTを活用した探究的な学びや、情報・数学などの教育の充実にも取り組んでいます。
海外留学や語学研修への挑戦
城南菱創高校では、国際交流や語学研修にも取り組んでいます。
学校が公表している実績には、オーストラリア語学研修、海外留学支援事業、国内での英語研修などがあります。
2024年度には、オーストラリアでの語学研修やマルタ共和国への短期留学などに生徒が参加しました。
語学力を伸ばすことはもちろん、異なる文化や価値観に触れることにも意味があります。
海外での経験を通して、これまで当たり前だと思っていたことを別の視点から考えられるようになるかもしれません。
留学や研修の募集内容、参加条件、費用などは年度によって変わるため、希望する場合は学校からの案内を確認する必要があります。
勉強だけではない城南菱創高校の学校生活
高校生活の魅力は、授業や大学進学だけではありません。
城南菱創高校では、「創華祭」と呼ばれる学校行事が行われており、文化の部と体育の部があります。
2026年度も9月に文化の部、10月に体育の部が開催されました。
また、部活動も体育系・文化系ともにさまざまな種類があります。
体育系では、サッカー、野球、テニス、ハンドボール、バスケットボール、弓道、バドミントンなど。
文化系では、吹奏楽、演劇、美術、書道、科学、茶道、ボランティアなどの活動が紹介されています。
大学進学を目指して学習に取り組みながら、部活動や学校行事にも参加する。
その両立を通して、仲間と協力する力や時間を管理する力などを身につけていくことも大切でしょう。
私は、勉強以外のことに夢中になった経験も、高校生活の貴重な財産になると思っています。
大学進学実績と多様な進路
城南菱創高校は大学進学にも力を入れています。
学校が公表している2026年春の卒業生の合格実績では、国公立大学への合格は延べ77名でした。
主な合格先には、京都大学、大阪大学、神戸大学、京都工芸繊維大学、京都府立大学、大阪公立大学などがあります。
私立大学では、同志社大学、立命館大学、関西大学、近畿大学、龍谷大学、京都橘大学などへの合格実績があります。
※合格者数は学校公表の延べ人数であり、実際の進学者数とは異なります。
また、看護系専門学校やその他の専門学校などへの進路も見られます。
進学実績は、学校選びの際に参考になる大切な情報です。
しかし、私は大学名や合格者数だけで高校を判断してほしくないと考えています。
大切なのは、その高校で何を学び、どのような力を身につけ、卒業後にどのような道へ進みたいのかということです。
城南菱創高校の多様な選択科目や探究活動は、そうした進路選択を考える機会にもつながっていると感じます。
2027年度入試から変わる選抜制度
2027年度の京都府公立高校入試から、新しい入学者選抜制度が導入されます。
城南菱創高校でも、普通科・教養科学科それぞれの選抜方法に変更があります。
普通科の選抜
普通科の募集定員は160名で、独自枠80名、共通枠80名です。
独自枠では、国語・数学・英語・理科・社会の5教科による統一学力検査に加え、面接と中学校からの報告書などを用いて選抜します。
これまでの3教科を中心とした前期選抜とは異なり、5教科の学力が求められる点が大きな変更です。
教養科学科の選抜
教養科学科の募集定員は80名です。
独自枠には、A方式1型とA方式2型が設けられています。
A方式1型(20名)
国語・数学・英語の学校個別検査と報告書による選抜です。
A方式2型(60名)
国語・数学・英語の学校個別検査に、統一学力検査の理科・社会と報告書を加えた選抜です。
このように、3教科を中心とする型と、5教科の学力を評価する型があります。
また、学校個別検査の問題構成についても見直しが行われます。
学校が公表した方針では、国語は現代文と古文の大問2題、数学は小問集合を含む大問5題、英語は会話文と長文読解を中心とする大問3題です。
英語の個別検査では、リスニングは実施されません。
ただし、問題数が見直されることと、問題そのものが簡単になることは同じではありません。
基礎的な知識に加え、資料を読み取り、論理的に考え、自分の考えを表現する力も求められます。
受験を考えている生徒は、各教科の基礎をしっかり固めるとともに、考え方を説明する練習にも取り組んでほしいと思います。
※選抜の配点や募集方法については、公表資料に基づいて記載しています。出願の際は、必ず2027年度の正式な募集要項と最新の学校発表をご確認ください。
塾長として考える、城南菱創高校との相性
今回の説明会を通して、私が改めて感じたのは、城南菱創高校が生徒の主体的な学びを大切にしているということです。
自分の進路に合わせて科目を選び、興味のあるテーマを研究し、大学との連携などを通して新しい世界に触れていく。
こうした教育環境は、自分から学ぼうとする生徒にとって、大きな魅力があると思います。
一方で、選択肢が多いということは、それだけ自分で考え、判断する場面も多いということです。
「先生に言われたことをこなすだけ」ではなく、自分で目標を持ち、学習を進める姿勢が大切になるでしょう。
特に注目してほしいのは、普通科と教養科学科の違いです。
どちらも大学進学を目指せる学科ですが、専門的な学習の内容や探究活動の進め方には違いがあります。
偏差値や入試の難易度だけで学科を選ぶのではなく、入学後にどのような勉強をするのか、自分がその学びに興味を持てるのかを確認してほしいと思います。
私は生徒たちによく、高校合格はゴールではないという話をします。
高校に合格することは大切です。しかし、本当に大切なのは入学してからの3年間です。
城南菱創高校に限らず、学校選びでは進学実績や入試の難易度だけでなく、学習内容、学校生活、自分との相性まで考える必要があります。
中学3年生はもちろん、中学1・2年生やその保護者の皆様にも、早い段階からさまざまな高校の特色を知っていただきたいと思います。
そして、実際に学校へ足を運び、自分の目で確かめる機会も大切にしてほしいと思います。
自分の興味を深め、将来の可能性を広げていく。
城南菱創高校は、そんな高校生活を考えるうえで、ぜひ知っておいてほしい学校の一つです。
学校説明会・イベント情報
城南菱創高校では、中学生や保護者を対象とした学校説明会や個別進学相談会を実施しています。
2026年11月7日(土)には、中学3年生とその保護者を対象とした第4回学校説明会が開催されます。午前は普通科、午後は教養科学科の説明会が予定されています。
また、11月28日(土)には、中学3年生を対象とした個別進学相談会が予定されています。
いずれも事前の申し込みが必要です。開催内容や受付状況などは学校公式ホームページでご確認ください。
京都府立城南菱創高等学校 基本情報
学校名: 京都府立城南菱創高等学校
所在地: 京都府宇治市小倉町南堀池
設置学科: 普通科・教養科学科
教育課程: 全日制・単位制
アクセス: 近鉄京都線「小倉駅」から徒歩約10分、JR奈良線「JR小倉駅」から徒歩約20分
公式ホームページ: 京都府立城南菱創高等学校
※本記事は、学校説明会での説明、学校公式ホームページ、京都府教育委員会が公表している資料をもとに、2026年10月時点の情報として作成しています。


