京都府立桃山高校
2026/10/24
京都府立桃山高等学校の塾対象の学校説明会に参加してきました。
京都市伏見区にある桃山高校は、普通科と自然科学科を設置し、国公立大学への進学実績や先進的な理数教育で知られる公立高校です。
桃山高校と聞くと、難関大学への進学実績や自然科学科の高度な理数教育を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、私が特に注目しているのは、進学実績だけではありません。
生徒が自分で考え、興味を持ったことに主体的に取り組み、仲間とともに成長していく教育環境です。
長年、生徒たちの進路指導に携わってきた立場から、桃山高校の特色や学校生活、進路実績などをご紹介したいと思います。
「自主自律・文武両道」を大切にする桃山高校
桃山高校は108年の歴史を持ち、「自主自律・文武両道」を校是に掲げています。
また、学校全体で育成を目指す能力として、思考力・創造力・協働力・コミュニケーション力・挑戦力の「5C」を重視しています。
授業だけでなく、探究活動や部活動、学校行事を通して、これらの力を育てていることが特徴です。
私は日頃から、生徒たちには知識や学力だけでなく、自分で考え、困難なことにも粘り強く取り組む力を身につけてほしいと考えています。
高校生活は大学受験のためだけにあるわけではありません。
3年間でどのような経験をし、どのような力を身につけるのか。
高校を選ぶ際には、こうした教育方針にも目を向けてほしいと思います。
普通科と自然科学科、それぞれの学び
桃山高校は1学年9クラスで、普通科7クラス、自然科学科2クラスが設置されています。
普通科 幅広い学びの中で進路を考える
普通科では、1年生で幅広い教科を学び、2年生から文系・理系に分かれて学習を進めます。
国公立大学や私立大学への進学を目指した授業に加え、学校設定科目「グローバルサイエンス探究」にも取り組んでいます。
ここで注目したいのは、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の取り組みが自然科学科だけに限定されていないという点です。
普通科の生徒も自分たちで課題を見つけ、調査・研究し、発表する活動を行っています。
将来の進路がまだ明確に決まっていない中学生も少なくありません。
普通科は、幅広い分野を学びながら、自分の興味や適性を見つけていくことができる学科だと思います。
ただし、桃山高校の普通科は京都市・乙訓通学圏に属するため、残念ながら山城通学圏の生徒は原則として受験できません。一方、自然科学科は京都府内全域から受験することができます。
自然科学科 「理科や数学が好き」をさらに深める
自然科学科は、理科・数学を中心とした専門的な学習に取り組む学科です。
難関国公立大学への進学に対応する授業に加え、3年間を通じて「グローバルサイエンス探究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」に取り組みます。
1年生では探究の基礎を学び、2年生では自分たちの研究テーマに取り組み、3年生では研究成果を論文やポスターにまとめ、英語で発表する機会も設けられています。
説明会で印象に残ったのが、自然科学科の生徒についてのお話です。
校外での活動中、カラスを見つけて夢中になって追いかけている生徒がいたそうです。
理由を尋ねると、カラスが大好きだからとのこと。
何とも微笑ましいエピソードですが、私はこうした知的好奇心こそ、学びの原動力になるのではないかと思います。
好きなことを深く学び、同じように興味を持つ仲間と出会える。
自然科学科の魅力は、難関大学への進学を目指すことだけでなく、こうした学習環境にもあるのではないでしょうか。
SSHの充実した探究活動
桃山高校は文部科学省のSSH指定校で、2026年度は指定17年目を迎えています。
長年にわたって理数教育や探究活動に取り組んできた学校です。
自然科学科の1年生は、通常の遠足に代えて、1泊2日の「スーパーサイエンスキャンプ」に参加します。
2026年度は、大型放射光施設「SPring-8」、スーパーコンピュータ「富岳」、西はりま天文台などを訪問したそうです。
また、グローバルサイエンス部には100名以上の生徒が所属しており、鳥班、化学班、気象班、微生物班、魚班、など、さまざまな研究班に分かれて活動しています。
普通科の生徒も参加でき、研究発表会などで成果を発表する機会もあります。
私は、こうした探究活動には大きな教育的価値があると考えています。
答えの決まっている問題を解くことも大切ですが、社会に出れば、必ずしも正解が一つとは限らない問題に数多く直面します。
自分で疑問を持ち、調べ、考え、試行錯誤する。
そうした経験は、大学進学後にも、社会に出てからも役立つはずです。
勉強だけではない、桃山高校の学校生活
今回の説明会でもう一つ印象に残ったのが、学校行事に対する生徒たちの熱意です。
桃山高校では、文化祭、体育祭、球技大会などに生徒が主体的に取り組んでいます。
文化祭で見られる生徒の本気
特に興味深かったのが、文化祭で3年生が取り組む演劇についてのお話でした。
副校長先生によると、生徒たちは受験勉強にも取り組む時期でありながら、演劇の小道具一つひとつにまでこだわり、仲間と協力して作品をつくり上げているそうです。
その完成度や生徒たちの熱意に、副校長先生ご自身も大変感動されたとのことでした。
また、学校行事には、生徒たちが企画する「ももやマルシェ」や、軽音楽部のライブ、のど自慢大会などもあります。
のど自慢大会の優勝者には、体育祭で校歌を独唱する機会が与えられるという、ユニークな取り組みも紹介されました。
こうした話を聞いていると、生徒たちが学校生活を楽しみながら、自分たちの手で行事をつくり上げている様子が伝わってきます。
私は、高校時代に仲間と力を合わせて何かに打ち込む経験も、その後の人生にとって大切な財産になると思っています。
部活動加入率は約90%
桃山高校には29のクラブがあり、部活動加入率は約90%です。
全国大会や近畿大会に出場するクラブもあります。
一方で、桃山高校は定時制を併設しているため、全日制の生徒は原則18時完全下校となっています。
そのため、部活動は限られた時間の中で集中して取り組む形になります。
時間が限られているからこそ、活動の質を高める工夫が必要になるのでしょう。
勉強と部活動の両立を考えるうえでも、興味深い環境だと思います。
自分で学ぶ姿勢を支える学習環境
桃山高校の授業は午前8時30分に始まります。
1・2年生は週4日、3年生は週2日が7限授業です。
自習室は19時まで利用でき、土曜日にも開室しています。大学院生による学習アドバイザーも在室しており、質問できる環境が整えられています。
また、学年に応じた学習会や難関大学対策講座も用意されています。
特に3年生では、自分に必要な科目やレベルを考えて学習会を選択できる仕組みが紹介されました。
ここにも、桃山高校が大切にする「自主自律」の考え方が表れているように感じます。
ただし、自習室や学習会が充実していても、それを活用するのは生徒自身です。
高校では、中学校以上に自分で学習を管理する力が求められます。
桃山高校を志望する中学生には、受験勉強を通して学力を高めることはもちろん、日頃から自分で計画を立てて学ぶ習慣も身につけてほしいと思います。
なお、校舎の長寿命化改修も進められ、2026年夏には4号館の改修やトイレの洋式化が完了しています。グラウンドの改修は引き続き進められているとのことでした。
また、暑さ対策として2027年度からポロシャツの導入も予定されています。
国公立大学への進学実績と進路指導
桃山高校は国公立大学への進学実績も充実しています。
2026年春の卒業生では、国公立大学に現役152名が合格しました。
内訳は普通科93名、自然科学科59名です。
自然科学科では卒業生80名のうち59名が国公立大学に現役合格しており、約74%にあたります。
主な合格先には、京都大学、大阪大学、神戸大学、京都工芸繊維大学などがあります。
こうした実績は、進路選択を考えるうえで重要な情報です。
ただ、説明会では、自然科学科の生徒が自分の研究したい分野や大学の研究設備などを考えて、関西圏以外の国公立大学に進学する例もあると伺いました。
私は、この点にも注目しています。
大学選びでは、大学名や偏差値だけでなく、その大学で何を学びたいのかという視点も大切だからです。
また、桃山高校では一般選抜に向けた指導だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜を希望する生徒への説明や支援も行っています。
早期に合格が決まった生徒にも、大学入学後を見据えて学習を継続するよう勧めているそうです。
合格を最終目標にするのではなく、大学進学後の学びにつなげる指導は、私も大切だと考えています。
2027年度入学者選抜について
2027年度入試では、自然科学科の個別学力検査に変更があります。
自然科学科
募集定員は80名で、独自枠により100%を募集する予定です。通学圏は京都府内全域です。
これまでの個別学力検査から国語が外れ、英語・数学・自然科学に関する分野の総合的内容の3教科となる予定です。
配点は次のとおりです。
選抜項目・配点
英語 100点
数学 100点
自然科学に関する分野の総合的内容 100点
報告書 135点
面接 15点
合計 450点
個別学力検査は450点満点中300点を占め、当日の試験結果が大きな割合を占める選抜方式となっています。
普通科
普通科の募集定員は280名で、独自枠140名、共通枠140名を募集する予定です。
- 独自枠と共通枠では検査内容や配点が異なるため、それぞれの選抜方式を確認しておく必要があります。
入試制度は変更される場合がありますので、正式な内容については京都府教育委員会が公表する入学者選抜要項等をご確認ください。
塾長として考える、桃山高校との相性
私は高校を紹介する際、進学実績や偏差値だけで学校を評価しないようにしています。
もちろん、志望校に合格するためには学力が必要です。
しかし、それと同じくらい大切なのが、入学後の3年間をその学校で充実して過ごせるかどうかです。
今回の説明会を通して感じたのは、桃山高校では「自分から学ぶこと」「仲間と協力すること」「興味のあることに挑戦すること」が大切にされているという点です。
国公立大学への進学を目指して努力したい生徒、理科や数学が好きで研究に打ち込みたい生徒、勉強だけでなく部活動や学校行事にも全力で取り組みたい生徒には、ぜひ知ってほしい学校だと思います。
一方で、進学実績が高いからという理由だけで志望校を決めるのはおすすめしません。
桃山高校が重視する自主的な学びや、普通科・自然科学科それぞれのカリキュラムが、自分に合っているのかを考えることも必要です。
特に自然科学科については、難関大学への進学実績だけでなく、3年間にわたる理数系の専門的な学習や探究活動に興味を持てるかどうかも重要でしょう。
高校受験は合格したら終わりではありません。
高校に入学してからの3年間、そして卒業後の進路まで考えて学校を選んでほしい。
これは、私が進路指導で常に大切にしていることです。
自分の可能性を広げる3年間に
桃山高校は、国公立大学への進学を目指す学習環境と、SSHによる先進的な探究活動を備えた高校です。
そして今回の説明会では、勉強だけでなく、部活動や学校行事にも熱心に取り組む生徒たちの様子を知ることができました。
自分で考え、自分の興味を深め、仲間とともに挑戦する。
そうした高校生活を送りたい生徒にとって、桃山高校は注目してほしい学校の一つです。
中学3年生だけでなく、これから高校選びを始める中学1・2年生やその保護者の皆様にも、学校の特色を知っていただければと思います。
学校選びでは、自分の目で学校を見て、先生方のお話を聞き、学校の雰囲気を感じることも大切です。
ぜひ学校説明会などの機会を活用し、自分に合った進路を考えてみてください。
京都府立桃山高等学校
所在地:京都市伏見区桃山毛利長門東町8
設置学科:普通科・自然科学科
※本記事は、2026年10月23日の学校説明会、学校配布資料、2027年度学校案内をもとに作成しています。


